こんな散らかった部屋を知らない人に見せるのか?嫌だなぁ…
「特に困ってないんですけど」
「それではキャンセルということでよろしいですか?一応玄関を中心にとは電話を受けた者が聞いてますが…」
あー、玄関ね……
昨日狭かったからか…
「キャンセルしたらどうなるんですか?」
「お金は振り込まれてますし、現場キャンセルは返金は出来ないようになってます」
翔馬のやつ…慶悟は玄関のドアを開けた。
「初めまして、中野と申します」
慶悟には名刺が渡された。
名刺には中野美麗(なかのみれい)と書いてあった。
「この玄関を片付けろって翔馬が?」
ドアから丸見えの廊下にたくさんの段ボールが置かれてある。
「翔馬さんとは?」
「大平翔馬」
「あっ、大平様のお名前ですね、すみません、担当じゃないので名前を存じ上げませんでした」
「とりあえず外じゃなんだから入って」
「はい、お邪魔します」
1歩中に入ると鍵を閉めるために慶悟は美麗に近づいた。
ふわっと石鹸の香りがして美麗は近い、近いと思い少し恥ずかしくなった。
こんなに男の人と近づいたのは久しぶりで、身長も高くてかっこいい人だなと美麗の第1印象だった。
が…何も知らされていないので少々機嫌が悪そうではある。
追い返されなかったので良い人ではあるんだろう。
大平様の名前を出したから玄関まで出てきてくれたのだから…



