クロダ センパイ……?

あたしはぽかんと口を開けたまま固まった。


「……って、誰?」



一瞬、教室が静まり返る。



『え、ありさ知らないの!?有名だよ、めっちゃ!!』

『一個上の先輩でイケメンで有名な人だよ〜!』

『御三家の人じゃん!!』

『絶対そうだって!今の特徴、完全に黒田先輩じゃん!』



みんながざわつき始めて、一斉にしゃべり出す。



「ご、ごさんけ…?」


『そうだよ!一個上の先輩で、早川先輩、町田先輩と並んでイケメンの!』



その名前を知らないことがまるであり得ないという風に、次々飛び交う言葉たち。



「そ、そうなの…
そんな人がいるなんて、全然知らなかったよ」



『だったら保健室行ってみようよ!』


「保健室?なんで」


『全校生徒の名簿があるからだよ!
顔と名前がわかるやつ。
それで探せば、ありさが言ってる人が黒田先輩だって分かると思うよ!』



保健室にそんな便利な機能が備わってるだけなんて、知らなかった。


「香織、天才!!」



あたしは香織に抱きつくと、ひたすらに次の休み時間を待った。