教室のドアを開けた瞬間、あたしは声を弾ませて叫んでた。


「今!保健室の前で!めちゃめちゃイケメンの人とすれ違って!!」



みんなが一斉にこっちを見る。



『えっイケメン!?
誰〜!?どんな人!?』



興味津々といった感じでくいついて来たのは香織。
クラスで一番仲良しの女の子。
ストレートロングの髪に眉下のパッツン前髪。
CAを目指しているだけあって、スタイル抜群。



「黒髪で、背が高くて、肌が白くて…!なんかもう、やばかったの!めちゃくちゃカッコよかったの!!
あんな人、うちの学校にいたなんて…!!」



まだ胸がドクドクいってる。

息がうまく整わないくらい興奮してて、自分でも何を言ってるのか分からなかった。


机にカバンを置くのも忘れて、身振り手振りでまくし立てるあたし。



それを見た香織が一言——


『それって、黒田先輩じゃない?』



……え?誰それ。