冷たい風が、廊下のすき間から入り込んでくる。 ストーブのない渡り廊下は、朝の静けさに包まれていた。 冬の朝は、空気が透きとおっていて、 なんだか少しだけ、世界がきれいに見える。 乾いた靴音が、コツコツと響く。 教室に向かうだけの、いつも通りの朝。 あたしは、ひとりで歩いてた。 保健室の前の廊下。 いつもの道。昨日と同じ風景。 でも——。