オレンジ色の奇跡



◆……

「舞希っ!舞希っ!」

 梨海があたしの前に来てニコニコしている。

「ん?なに?」

 なんだか気味が悪いが、無視する理由も見当たらないため、梨海から視線をはずしながら話を聞いてあげることにした。

「その後、どうなのよっ?」

 ……………“その後”って?

 あたしは頭をフル回転させたが“その”が分からない。

「……ごめん。“その後”の“その”って?よく意味が分からないんだけど?」

「はぁ………」

 梨海はわざとらしいため息をつく。

「岩佐先輩とどうかってことよっ!舞希、岩佐先輩のこと好きだって気づいた後も一緒に帰ったりしてるじゃない。
だから、何か進展があったとしてもおかしくないでしょ?ていうか、あったでしょ?」

 …………進展?

 あったといったら、ただマフラー貸しただけだし……。

 別に進展って言わないよね?

「………………………ない」

「嘘だっ!その間はなんだっ!!」

「ホントに何もないよ?ただ、あたしがちょっとだけ期待しちゃってるのとマフラー貸しただけだよ?」

「そりゃぁ、少しくらい期待するわよ。
一緒に帰ったりしてるんだもん。マフラー……ね」