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あー。なんかやべえな。意識するとどうも、こう……動きにくい。そもそも、女ってあんな風に笑ってお礼言う生き物だったか?あー、なんか俺、腐りそう。
「ニヤニヤしすぎなんじゃない? 何かあるの?」
にっ?! ……ベッドに腰掛けた朔真さんは相変わらずの仏みてえな優しい笑顔で俺を見てた。
「別に何もっていうか、なんつーか……」
「付き合ってるんだー!」
歯切れが悪い俺に向かって『見つけたーっ』ってかくれんぼ中の鬼みてえなテンションの朔真さんが言い放つ。
「違っ!」
「え……付き合ってないの? ……じゃあもしかして啓輔の片思……ってそれはないよねえ。ケンカになったら女でも容赦しないけいちゃんが――」
「俺、女となんかケンカしたことねえし!」
「そっかそっか。女はみんな化け物だっけ」
「ちょっ……それは! 昔のはな……しでもねえけどっ」
何なんだ、この人は。意地が悪いだけっつうか、ただ楽しんでるだけっつうか。普段“けいちゃん”なんて呼ばねえくせに。
「で? 実際けいちゃんはどうなの?」
「……別にいいじゃないですか」
「好きなんだーっ」
朔真さんはけたけたと笑いながら俺の肩をバシバシ叩き、
「がんばれよっ! でもなー、舞希をオトすのは結構骨が折れるぞ?」
オトせるもんならオトしてみろと言わんばかりに朔真さんはにっと笑った。

