あたしの身体は、少しずつ震えてきてる。 それを落ち着かせようと静かに深呼吸を何回も何回も繰り返す。
それでも止まらない身体の震え。
思い出したくなくても、羽交い締めにされナイフをあてられた感覚を身体は覚えているみたいで。
あたしの身体と心は限界。
今ここで泣きたくない。泣いたら岩佐先輩に迷惑をかけちゃう。本当に、だめ……。泣いたらだめ。
口を開くだけで、嗚咽がこぼれそう。だから、何も言わずに岩佐先輩から離れようと思った。なのに――
「おい」
――岩佐先輩に腕を掴まれた
あからさまに身体がビクッと反応したあたしは何て言い訳しようか考えていた。 なのに、岩佐先輩はこともあろうにあたしをいとも簡単に組み敷いた。
「っ?! せんぱっ!?」
「このままでいろ……」
「……やだっ」
「何もしない」
「そういう問題じゃなっ――」
「じゃあ、泣け」
えっ……? なん、で……。
「……や、だっ……それだけはだめ……っ」
やだやだやだ! 泣いたら岩佐先輩に迷惑がかかる!あたしは誰にも迷惑なんてかけたくないのっ……かけちゃだめなの……っ!!