千紗さんが去ったいった場所をなんとなく眺めていると、梨海があたしの頬に、ほんのりと赤い頬に触れた。

「舞希、あと10日よ?いいの?」

「うん。たぶん卒業式まで岩佐先輩には会わないと思うけど、10日間一生懸命恋してみるよ」

 姿は見れなくても、思うことはできる。

 優衣は一度離した手を、大切な物に触れるかのように再びあたしの手を握った。

「私に何かできることあるかな?あったら、言ってね?」

「優衣、ありがとう」

 たっぷりと授業をサボった時間で、保健室の一角でガールズトーク。

 ワイワイ話したその日を境に、あたしは別れてから外していたネックレスをつけた。

 残り、10日間。

 その間だけでも、岩佐先輩からもらったアレをつけてたってバチは当たらない、よね?

 10日間の恋のカウントダウンは、予想より、思ってた以上に早かった。