オレンジ色の奇跡



「……あ」

「優衣?」

「授業、サボっちゃったね」

「うわ。あたし、初めて」

「そんなの全然平気よ。
………ねぇ?千紗姉?」

 …………千紗、姉?

 千紗って、あの千紗さん?!

 え、待った待ったーっ!
 梨海さん“姉”ってなんすか?

「あら、梨海。バレてたの?
相川ちゃんに椎葉ちゃんもいるじゃないっ!」

「あ、こんにちは。あれ?千紗さん、3年生ってもう自由登校じゃないんですか?」

「ふふっ。そうよ、自由登校」

「………千紗姉、密会?」

「密会だなんて失礼なっ」

「あのぉ。どういうカンケイですか?」

 ほぼ同時に。
 あたしを見つめる顔に、一瞬どきりとしてしまった。

 だって、千紗さんは綺麗だと確信してたのに、梨海も負けず劣らずな綺麗な顔をしてたんだもの。

 二人は、打ち合わせをしてきたように、同じように口角を上げ、

「「い・と・こ」」

 と、さぞ楽しげに。