オレンジ色の奇跡



 そんなことを考えてるうちに、曲のサビの部分(盛り上がりからしてここだと、ね?)で、重ねられた声に聞き覚えがあった。

 こんなにたくさんの人に囲まれて、軽くショーみたいな状態にさせてる人物のひとり(もしかしたら、with○○っていう可能性も捨てきれないでしょ?周りで踊ってるかもしれないし)って……。

 椎葉優衣、だったりする?

 だって、ねぇ?
 優衣だと考えれば、この軽やかなピアノの演奏だって納得できる、よね?

 人だかりをかき分け……たら、迷惑だからショーが終わるのを待つことにした。

 2曲目が、スパッと綺麗に終わると徐々に人だかりがなくなり、ピアノの近くに二人が立っているのが見える。

「ゆーいー」

 歌っていたであろう女の子と、話していたのを止めキョロキョロと辺りを見回しあたしを発見するとふんわりと笑ってみせた。

「すっごい良かったよー」

「ホントに?私、こういうの初めてだったから緊張しちゃって」

「緊張してたの?そんな感じじゃなかったと思ったけど。
……あ、えーと、はじめまして」

「……はじめまして。それじゃ、私は」

「ありがとう、バイバイっ」

 黒髪ストレートのたぶん年下であろう女の子(黒髪の所為なのか肌が雪みたいに真っ白っ!!)は、あっさりと挨拶を交わしあたし達から離れていく。