オレンジ色の奇跡



「じゃ、僕はここで待ってるから」

 兄貴に返事をした後、ゆっくりと扉を左にスライドさせる。

 病室内は真っ暗で、でも、どうしても舞希の顔が見たくて……。

 静かに閉まっていた遮光カーテンを開けた。

 月明かりに照らされた舞希は、可愛いというよりは綺麗。

「………ま、き」

 俺の声とは思えないほど、か細い声に、一瞬ドキリとした。

 こんなにも、俺は舞希を必要としているのに……。

 そっと、舞希の頬を触る。

 自分が冷えきっていたことを、思い知らせるような温かさ。

 …………抱きしめたい。

 そう思ったが、歯止めをかけた。

 いくら催眠剤で眠っていようが、起きてしまうかもしれない。

 もし、今、舞希が起きたら俺の決意は簡単に崩れてしまうだろう。

 キラリ。

 少し体を動かした時、微かに舞希の首元に光るモノを見つけた。

 起こさないようにそれを見ると、そこにはハートのネックレス。