オレンジ色の奇跡



『眠りが浅くてダメなんだって』

「そうか……。とりあえず、裏口から入るから。開けといてもらえる?」

 兄貴の返事を聞いた後、携帯を閉じる。

 ココから病院まで、歩いて10分。

 別に、急ぐ理由もないけど、どうしても走ってなきゃやってられねぇ。

 泣きそう、なんだ。

 唇を噛みしめ走ればあっという間に病院の裏口まで来ていた。

 ゆっくりと、曇りガラスの入ったドアを開ける。

 ドアを開けたすぐそこに兄貴が立っていて、ニッコリと笑っていた。

「……兄貴」

「ずいぶんと早かったね」

「舞希に会ってもいいか?」

「仕方ないなぁ。特別、なんだからね?」

「サンキュ」

 兄貴の肩を軽く叩き、舞希の病室に向かう。

 その後ろにいる兄貴が、ゆっくりと口を開いた。

「舞希ちゃん。まだ、退院できないんだってさ」

「何で?」

「頭、打ったでしょ?おまけに、1週間近く意識不明だったからまだ安静にしなきゃダメなんだって」

「そうか……。あと、どれくらいで退院できるんだ?」

「2週間はかかんないと思う。でも、10日は絶対らしい」

 舞希の安全は、あと10日保証されるってわけか……。

 いきなり、兄貴に肩を叩かれ我に返ると、すでに舞希の病室まで来ていた。