オレンジ色の奇跡



 さっきみてぇに、俺のあとつけてっから舞希に会いにいけねぇんだろうが。

 舞希の安全もギリギリだな。

 今んとこ入院してるから、なんとか安全が保たれてるみてぇだけど。

 退院したあとが、怖い。

 もしかしたら、連れ去られて俺を呼び出すための餌に使われるかもしれねぇし、その場でヤられるっていうのも捨てきれねぇ。

 すべてが、舞希を苦しめる。

 ………もう、潮時なのか?

 俺が舞希を守るためにはしょうがねぇことなのかもしれねぇな。

 ボサーッと、そんなことを考えて歩いていれば辺りはもう暗くなっていて。

 珍しく襲われなかったな、なんて考える暇もなく、俺は決心した。

 自分の決意を堅くするため、携帯を取り出して電話帳を開き、目当ての人物を見つけて通話ボタンを押す。

『はい、もしもし?』

「あぁ、俺」

『時期遅れのオレオレ詐欺?』

「今から病院行きたいんだけど、まだ兄貴いるか?」

『綺麗にスルーしないでよ。まだ、いるよ。どうしたの?』

「いや、まぁな」

『舞希ちゃんなら、バルビタール――催眠剤ね。飲んでぐっすり寝てるよ』

「サイミンザイ?」