「………なぁ、井上。お前は、舞希が好きなんだろ?」
「何言ってるんですか?」
「俺よりお前の方が舞希を幸せに出来るだろ?だったら、俺から舞希を奪ってくれねぇか……」
「…………」
「俺から手放すことはどうしても出来ねぇんだよ……。だから――」
「確かに。僕は、相川さんに惹かれてた」
「だったら……」
「奪うならとっくに奪ってますよ?
同じ学年、同じクラス……。奪うチャンスならいつでもあった。そうですよね?」
「じゃあ、何で」
舞希に惹かれてたなら、何故だ?
井上が言うように、奪うチャンスなんて山ほどあったのに……。
井上は、ふんっと鼻で笑ってから俺の胸に拳を当てた。
「あなたには勝てない。そう、思ったからですよ。
相川さんを変えたのは岩佐先輩。
岩佐先輩を変えたのは相川さん。
言ってる意味、分かります?」

