オレンジ色の奇跡



 それにしても、井上くんが持って来るにしてはずいぶんと可愛い花束。

 ラッピングに使用されているリボン全体に『FLOWER SHOP Kaede(かえで)』と、筆記体で印刷されている。

「Kaede……?どこの花屋さん?」

「僕んちだよ」

「え?!井上くんって花屋さんだったの?!」

「そんなに驚かなくたっていいんじゃないかな?」

「小学生のとき、将来の夢が花屋さんだったなぁ」

「そうなの?でも、花屋って手が荒れるし冷えるし良いことなんてないって」

 「それでもいいのっ」っと言いながら、花瓶をベッドの近くにある正方形のテーブルに置いた。

 花の甘い香りとみずみずしい香りが病室いっぱいに広まるのを感じながらベッドに戻った時。

「あのさ。気になってたんだけど」

「何?」

「僕来たとき、元気なかったよね?それに、何だか無理してるみたいだし……。具合が悪いなら帰るよ?」

「具合は悪くないよ。ごめんね?気を遣わせちゃって……」

「僕で良いなら聞くよ?ほら、貯めとくと体に悪い気がするしね」

 一瞬。
 話そうか話さないか戸惑った。