「朔兄は『逃げろ』って言ったのに、あたしは逃げなかったの。
だから階段から落ちて……」
「舞希っ!?お前……」
「思い出したよ。あたしが小学校卒業後すぐにアメリカに行かなくちゃ行けなくなった理由」
「あれは、俺が悪いだろ?!舞希は何も悪くない!!」
「じゃあっ!あたしが、5年前、階段から落ちなかったらお兄ちゃん達は喧嘩を止めなかったでしょ?!
止めたからこそ、逆にお兄ちゃん達を潰そうとする人達が増えた!!
……だから。
だから、カズくんが死んだの……」
「違う!!」
「あたしの所為なの!!
階段から落ちさえ…しなけれ、ば…。
お兄ちゃん達は好きなことして、カズくんは寛子ちゃんと結婚して……。
……何もかも、あたしが、壊した、の」
零れる涙を拭っても、拭っても頬を濡らしていく。
何も知らなかったあたしは馬鹿みたい。
耐えられず顔を両手で覆うと、ふわりと体が温かくなった。
少しだけ顔をあげると、今にも泣きそうな朔兄があたしを抱きしめ頭を撫でる。

