オレンジ色の奇跡



 10円玉を数枚握りしめ、病室を飛び出し、受付近くの公衆電話へと走る。

 朔兄や晴兄の携帯の番号なんて覚えているはずもなく、必死に家の番号を思い出し、素早く押していく。

 お願い!家にいて!

 呼び出し音に望みを託せば、『はい、もしもし』と、擦れ切った朔兄の声が鼓膜を揺らす。

「も、しもし……」

『………え?』

「朔兄?あたし。舞希」

『あ、うん……』

「今そこに、晴兄もいる?」

『いるけど…』

「暇だったら、今から二人で病院に来てもらえるかな?」

『いや、でも……』

「暇なら来て?話があるの。
……公衆電話からかけてて手持ちがあんまりないの。だからもう切るね?」

 電話の向こうで無気力な朔兄の声を聞き受話器を元に戻した。

 若干、強制的みたいになってしまったがしょうがない。