「だから、和広は死ぬ直前に『舞希ちゃんには、伝えるな』って言ったの」

「……え?」

「朔真くんと晴樹くんが狙われてるって分かったから、自分の葬式に舞希ちゃんが来たら危ないとでも思ったんじゃないかな?」

「そんなっ」

「じゃあ、さぁ。3年前のあの日。舞希ちゃんに和広が死んだことを伝えて、でも来るなって言われたとしても絶対日本に来たでしょ?」

「………っ」

 どんなに止められたとしても、あたしはカズくんのお葬式に出てたと思う。

 自分の身が危なくたって、『そんなの関係ない!カズくんの方が大事!!』なんて、言い捨てアメリカを飛び出しただろう。

「ほら、ね?そうでしょう?
和広は、舞希ちゃんの性格を良く分かってたの。だからこそ、最後に言った。私達に『絶対言うな』って、釘を差したくらい」

「………じゃあ。お兄ちゃん達は、あたしに知らせたくてもカズくんとの約束を守るために、言えなかったの?」

 自然と涙声になっていく自分に鞭を入れ、必死に耐える。