岩佐先輩は、人数分のジュースを買うためどれを買うか自販機の前で悩んでいた――

「……なぁ。 ……俺のこと初めて見た時どう思った?」

 ――と思っていたあたしは、少し驚いて自販機の前に立っている岩佐先輩背中をじっと見つめる。

「……金髪不良男」

 あたしは、小さく素直に呟いた。

「やっぱ?」

 と、思っていた通りだったのかあたしのほうを振り向かずに呟く岩佐先輩。

 ……でも。

「……あたしを助けてくれた」

「えっ?」

 驚いて振り返った岩佐先輩は驚いてるみたい。だって、目をぱちくりさせてるんだもん。

 なんでそんなに驚くかな。目、ぱちぱちして、なんかかわいい。

「だって………助けてくれたじゃないですか。 見た目は悪いかもしれないけど、中身は優しくて良い人だと思いましたよ? って、今も思ってますけどね?」

 あたしは、岩佐先輩を少し見上げながらゆっくりと言った。

「でも、怖えだろ」

 目を伏せるから、岩佐先輩の表情が分からない。 どうしてそんなこと聞くの?

「公園で後ろから捕まえられたときは、あっちの味方かもって思って少し怖いなとは思いました。 ……けど、今、怖いだなんて思ってませんよ?」