目の前には、紅茶の入ったマグカップが二つ。

 隣には、片膝を抱いて座る岩佐先輩。

 ソファーの背もたれから背中を離し、マグカップを手に取る。

「何から話せばいいんだ?」

 ボソッと呟いたひとことを聞き、マグカップをテーブルに置き、岩佐先輩に体を向けた。

「えっと……。何で怒ってたんですか?」

「舞希には怒ってねぇって言ったよな?」

「……はい」

「自分自身にムカついてた」

「え?」

 イマイチ分からないんですが。

 岩佐先輩は、自分自身に怒ってたの?
 えっ?でも、それってあたしの所為だよね?
 だって、あたしがコンビニでお茶を取りに行った後から機嫌悪かったんだもん。

 ………意味分かんない。

「あからさまに『分かんねぇ』って顔してんじゃねぇよ」

「あ、いや。だって……」

「分かりやすく言えば、単なる嫉妬」

「……誰が誰に?」

「俺が井上に!」

 ……何故に井上くん?

 いやいやいや。何回か話したことありますよ、そりゃあ。

 あの時だって、確かに井上くんと話してましたけど……。

 あたしが、千紗さんにやきもち妬いたのとは違いますよね?(アレは、ただの勘違いだっけ?)

 ……話してただけでやきもち妬く人でしたっけ?岩佐先輩って。