オレンジ色の奇跡



「すみませ…ん?……あ!」

「え?……あ」

 視線を走らせた先には見覚えのある顔。

 さっぱりとした黒髪に、可愛いらしい顔立ち。

 いつもと感じが違うのは、黒縁メガネの所為だろうか?

「い…井上くん?」

「相川さん?」

「あ、久しぶり!終業式以来だね」

「そうだね。元気?」

「うん!井上くんは?」

「僕も元気だよ」

 相変わらず、優しく爽やかな笑顔を向けるな。この人は。

 ぶつかったまま止まっていた手を伸ばし「はい。何か取るんでしょ?」と、当たり前のようにそれを開く。

「ありがとう」

 すーっと冷たい空気を少し感じつつ、目当てのお茶。2リットルのペットボトルを2本取り出す。

 2本を抱え込むように持ち、井上くんに再度お礼を言った。