オレンジ色の奇跡



「なんだよ」

「それ、ください。あたしのですっ」

「は?俺が奢るんに決まってんだろ」

「そのくらいお金持ってま」
「るせぇ、黙れ」

 だ、黙れだって!

 昨日から奢ってもらってばっかりなんだし……。
 あたしとしては、何だかモヤモヤしてるのに。

「そうだ……。昨日、飲み物全部飲んじゃいましたよね?」

「あぁ、そうだな」

「何が飲みたいですか?」

「お茶」

「分かりました」

 お茶くらいあたしが奢るんだから。

 そうじゃなきゃ、気が済まない。

 おにぎり売り場に岩佐先輩を残し、デザートとパンが並ぶ棚の間を通り抜け、一番奥へと進む。

 2リットルのペットボトルを見つけ、取り出そうとステンレス製の取っ手に手を伸ばす。

「「あっ……」」

 何かの映画みたいなドラマみたいな、伸ばした手が知らない人の手とぶつかるシチュエーション。

 別に、ドキドキなんてしませんよ?決して。

 ただただ、単純にビックリして、ぶつかった所から徐々に上へ視線を走らせる。