オレンジ色の奇跡



 Tシャツを脱ぎ捨て、少し大きめな黒の長袖にダウンジャケットを羽織る。

「見てねぇで早く着替えろ」

「はいっ!」

 起き上がり、静かに、ベッドの端まで移動し腰掛ける。
 足でカバンを引き寄せ服を取り出す。

 フードが付いたカーキ色のパーカーワンピースに濃紺のピッタリとしたジーンズ。
 外は、寒いだろうから上着に手を通しながらショルダーバッグを掴む。

「準備できましたよ」

「はやっ!」

「そうですか?」

「前から思ってたけど、舞希って化粧とか香水とか使わねぇよな」

「あんまり好きじゃないんです。香水は自分でつけて酔っちゃうし……」

 うーん。やっぱり子供っぽいのかな?

 でも、化粧すると息出来ない感じがするし……。