厚着と言ってもパーカーくらいしかないため、それを羽織る。
ちょうど「舞希ー」とダイニングから声がし、ドアを開くと、ダイニングの電気が消してあり真っ暗。
「え…?先輩?真っ暗なんですけど……」
「いいから。こっち」
わけの分からないあたしの手首を掴み、シャーといきおいよくカーテンを開ける。
だんだんと目が慣れてきた頃、フューっと冷たく寒い風が入ってきたため、ベランダに出るのだと分かった。
「舞希、寒くないか?」
「……寒い」
「こっちおいで」
左手をポケットに入れ右手を広げ、あたしに「来い」と催促する。
素直に頷き、岩佐先輩の傍に寄り添う。
「ほら、見てみ」
ポケットに入れていた左手でベランダの外を差す。

