オレンジ色の奇跡



 ソファーの上で膝を抱えてテレビのリモコンを操作したが、興味が湧く番組がなく電源を切った。

「ふぁー。……眠い」

 欠伸をしながら手を上に伸ばしストレッチをする。

 いやいや、寝ちゃダメだよね。

 眠気に勝つか負けるかのちょうどほわほわしたときガチャ、とドアが開く音。

 重たくなってきた瞼を力ずくで開き振り返ると、上半身裸で首にバスタオルをかけている岩佐先輩の姿が目に入った。

 程よく引き締まった身体に、濡れている髪の毛。

 そのすべてにあたしの心臓が高鳴る。
 もう、ドキドキ、ドキドキ。聞こえるんじゃないかってほど。

 全身が心臓になったみたいに、トクントクン脈打っている。

 ペットボトルに入った天然水を片手に持ち、ボスっとソファーに腰を下ろした。