オレンジ色の奇跡



 少し熱めのお湯から上がり、ぽーっとした頭で着替えを済ませる。

 バスタオルで髪の毛を拭きながらダイニングに入ると、岩佐先輩は、ソファーにドカっと座りテレビを見ていた。

「お風呂、ありがとうございました」

「あぁ。じゃあ、入ってくるな。
冷蔵庫開けてなんか飲んでいいから」

「分かりました」

 頭をガシガシ掻きながらダイニングを出ていく背中を見つめた後、キッチンに向かいお皿を洗い始めた。

 クリスマスプレゼント……。

 いつ渡そうかな。うーん。

 ブクブクと増えた泡をお皿に乗せ、スポンジでこする。
 みるみるうちに白かった泡が、チキンライスのオレンジ色に染まっていく。

 気に入ってもらえるかどうか。

 気に入ってもらえなかったら、とどんどん泡のように不安が増える。

 きっと。きっと、気に入ってくれる。

 そう、心の中で呟きながら、蛇口を回しお皿についた泡を水で洗い流す。

 すべてのお皿を洗い終え、冷蔵庫からお茶を取出しソファーに座る。