オレンジ色の奇跡




 約2時間後――出来上がった料理をテーブルに運ぶ。

 テーブルに並んだのは、オムライスにフレッシュサラダ、ミネストローネ、唐揚げ。

 岩佐先輩が「俺がやる」と言ったオムライスの卵は、焦げてしまいあたしに突かれた。

 その焦げた部分を必死にケチャップで隠しているところを見て「可愛い」と呟けば「るせぇ」とあたしに背を向ける。

「「いただきます」」

 礼儀よく手を合わせた後、料理に手を付けた。

 1時間半かけて作った料理も30分ちょっとでなくなってしまう。

「ふぅー。お腹いっぱい」

「舞希、舞希」

「はい?」

「ケーキ、ケーキ」

 …………そんなにケーキ好きですか?

 その前に、お腹いっぱいじゃないんですか?

 食べ過ぎで苦しくなった体を持ち上げキッチンにケーキを取りに行く。

 ホールごと食べるのかな、とも思ったが一応お皿と包丁を持った。