舞希と一緒に大型ショッピングセンターに来たのはいいが、すでにもう一時間は歩きっぱなしだ。

「……舞希、まだ他の店行くのか?」

「え?行かないの?」

 まじかよ……。こんなに舞希が、買い物好きだなんて知らなかったな………。

「ちょっと休憩しねぇか?」

「あっ……。ごめんなさい!さすがに疲れましたよね」

 一時間ほど店を回っているが、買った品物は少ない。

 何か一つ見つければ「これ可愛いー!」など騒いで、「どっちがいいですか?」なんて聞いてくる。

 どうせ俺に聞いても自分が良いと思う方を買うのだろうと思っていれば、「やっぱりこっちですよね」と言って、俺が選んだ方を買う舞希。

「昼にするか?時間も時間だし」

「はいっ!」

 にっこりと笑いながら歩み寄ってくる舞希は、他のどの男が見ても可愛いと思ってしまうほどの笑顔を向けている。

 そんな舞希を見ていると少しでも離したくないと思ってしまう。

 だからこそなのか、気づいたら舞希の手を捕まえていた。

「ふふっ……」

「……なんだよ」

「先輩から手繋いでくれるなんて思わなかったから」

「嫌ならいいよ」

 笑われたことに少しムッとして舞希と反対方向を向けば、「嫌じゃないです」と言いながら俺の手を握る。

 それがすっげー嬉しくて俺も握り返した後、顔が緩んでいるのを隠すために反対の手で顔を覆った。