「……ま…相川、着いたぞ」

 ホントは、“舞希”と呼びたいがどうにも素直に呼べないためしょうがなく名字で呼べば、

「……ん……ふぅー」

 なんだか色っぽい相川に鼓動がはやくなるのがわかる。
 頼むから起きてくれ、と願いながら相川の足をポンポンと軽く叩く。

「んん………あれ?」

 眠い目をこすりながらキョロキョロとする相川。

「空港に着いた。ほら、行くぞ?」

「………うん」

 寝起きだからなのか少し元気がないと思ったが昨日の今日だ。
 なるべくならジョンに会いたくないと思うのは普通だろう。

 俺は、相川を優しく抱きしめ、

「俺がいる。大丈夫だ、心配すんな」

 相川は、俺の背中に腕を回しギュッと服を掴みコクリと小さく頷いた。