オレンジ色の奇跡



「あの、名前は?」

 祥也が少し警戒した様な口調で聞けば、

「はぁ……仕方ないので自己紹介してあげますね。
藤野耕太(ふじのこうた)大学4年。梨海とは付き合って……あともう少しで1年ですね」

 藤野耕太、藤野………。
 耕太………、大学4年………。

 ―――アイツか

「俺は、神崎祥也もうすぐ18歳」

「岩佐啓輔、18」

 祥也に続いて簡単に自己紹介をしながらバックミラー越しにじっとアイツを見る。

「高校3年ですか……」

 ぼそりと呟きながらバックミラーで俺の方をチラッと見たため目が合ってしまった。

「はぁ……ウタ、その話し方やめろよ。気持ち悪ぃんだよ」

 俺の記憶が正しければ“藤野耕太”の通称はウタだったはず。

「啓輔、知り合い?」

 祥也が後ろを振り向いてきた。