オレンジ色の奇跡


 あたしと梨海は、にこにこ(ニヤニヤ)しながら優衣を眺めていると、

「梨海ちゃんっ!舞希ちゃんに何言ったの? 違うの舞希ちゃん。私は別に先輩のことなんて――」

「で? 先輩なんだて?」

 にやけ顔の梨海の問いかけに少し目を泳がせた優衣。

「………な、なんかね? 舞希ちゃんに、会いたいって……今から来るって、言ってたよ……?」

 大きな瞳をゆらゆらと揺らし、最後の方は消えそうな声だった。

「はあっ? 舞希なんで?」

 そんなのあたしが聞きたいっ!

「知らないよっ!! なんであたしなの?」

「……私だって、分かんない……」

 すごく弱々しく少し泣きそうな顔して言うなんて、もしかして優衣……。

 それは、梨海も同じだったみたいであたしと梨海は顔を見合わせて微笑みながら、

「「優衣、それは“恋”だよ」」

「っ!!!!」

 驚きすぎて声が出ないといった感じの優衣が可愛くて。 久しぶりに恋っていいなって思えた瞬間だった。