オレンジ色の奇跡


「舞希っ! 同じクラスよっ! まじ嬉しいっ!」

「舞希ちゃんお帰り。やっと日本で暮らせるね。 私、嬉しいっ。舞希ちゃんと一緒に高校に通えるなんて……」

「ありがとう、優衣。 あたしも嬉しいっ。梨海と優衣と同じ高校通えるなんて夢にも思ってなかった」

「そんなにしんみりとした雰囲気にしないでくれる? それより、彼氏どうしたのよっ?」

「はっ?」

「舞希ちゃん彼氏いたの?!」

「彼氏なんていないけど。 梨海は、誰と勘違いしてるの?」

「舞希いないのー?つまんないの。 でも、優衣にはいるのよ!」

 同意を求めるような顔で優衣を見るもんだから、優衣本人はあたふたしている。

「ちっ違っ! 舞希ちゃんっ違うの。 ただ、先輩と梨海ちゃんが勝手に――」

 と言い掛けて優衣は、ビクッとして自分のポケットに手を入れ震えている携帯を取り出した。

「噂をすれば、先輩からのラブコールっ! キャァァー!朝っぱらからもうっ!」

 ラブコールは別に良いとして、梨海、あんたのテンション朝っぱらからはきついんですけど。

 今にも泣き出しそうな表情をしながら通話ボタンを押した優衣。