オレンジ色の奇跡




「あたし、ちょっとペットボトル捨てに行ってくるけど捨てる物ある?」

「「ないよー!」」

 二人の声を背中で受け止めてドアに手をかけたと、思ったら勝手にドアが開いたのを見て右側に避ける。

 誰だろうと思い一直線に歩く背中を見た。

「あっ。神崎先輩…」

 優衣の嬉しいけどなんだか煮え切らないか弱い声が聞こえる。

 神崎先輩、か。

 優衣すでに神崎先輩の腕に捕まってるし……。

 楽しげな優衣と神崎先輩を見た後一歩踏み出しながら視線を開けっ放しのドアに戻せば次に入って来た人とぶつかり、その反動で、後ろに一歩下がり、運悪く足を挫いてしまった。

「……きゃっ!」

 小さな悲鳴をあげ転けると思っていたら腕を引っ張られ元の立っている状態に戻る。

 背中にはなんだか温かいものを感じ、反射的に瞑っていた目を開ければネクタイがあることに気づいた。

 も、もしかして…抱きしめられてる?

 バッと顔を上げれば心配そうな表情をした岩佐先輩の顔。

 い、岩佐先輩の顔っ?!!!

「っ!!?」

 驚いて再びネクタイに視線を戻せば、

「……大丈夫か?」

 耳に響く丁度良い低さと心地良さに、ただ、あたしは、コクコクと何度も頷くことしか出来なかった。