あたしは、紅茶に付いてきたガムシロップを半分だけ入れて口をつけた。
ほんのりと甘く今まで冷えていた体が温かくなるのが分かる。
チラッと先輩を見ればストローを使わずにコーラを飲んでいた。
―――千紗さんのこと
聞いても良いことなのかな?
どうしてこういう時になると意気地がなくなるのだろうか。
でも、聞かなくちゃ……。
………一歩進むために。
「「あのっ(なぁ)」」
あたしと先輩は同時に口を開く。
「あっ……すみません。先輩、先どうぞ」
「いや、相川、先言えよ……」
「えっ?!あっ……」
いざ、聞くとなると緊張してなかなか良い言葉が見つからない。
「あの……千紗さんって先輩の………
…彼女ですか?」
「ぅぐっ!!……っえほっえほ!!」
勇気を出して聞けば、コーラを飲んでいた先輩が、驚いてむせていた。
「すみませんっ!!……やっぱり付き合ってるんです、ね」
やっぱり千紗さんと岩佐先輩は、付き合っているんだ。
聞かなくちゃ良かったと思い始めたとき、
「ちょっと……待てっ!えほっ!
……なんだ、その……デマっ!!」
知らないうちに俯いてたあたしは、頭が後ろに引っ張られる感じで前を見た。
すると先輩はまだむせていて眉をひそめながらあたしを見ていた。
「………デマ?」
考えていなかったフレーズに聞き返せば、
「あたりめぇだっ!!誰が、あんな女と付き合うかっ!!」
予想していた声より大きくて他のお客さんが先輩をジロジロ見ている。
「つ、付き合ってないんですか?!」
「だいたい、俺、女いねぇし…」
たったそれだけのことなのに、あたしは嬉しくなった。
自分でも単純だとは思うが、彼女がいないということは先輩のことを想っていてもさほど迷惑にはならないということ。
あたしの頭はすでにお花畑状態に突入している。
「……そうなんですか」
嬉しさを噛みしめながらも喜んでいることがバレないように静かに呟いた。

