オレンジ色の奇跡



◆……

「相川どれにする?」

 ふと、見上げれば、岩佐先輩がメニューを指してあたしを見ている。

 あたしは、先輩の指からメニューに視線を落とす。

「じゃあ………紅茶で」

「ホットとアイスどちらにしますか?」

 少しばかり厚い化粧に茶色に染め後ろで結わえている髪。

 女性店員の営業スマイルとほどよい声の大きさとスピード。

「ホットで……」

「俺は、コーラで」

 あたしに続いて先輩が注文すればやんわりと微笑み、

「かしこまりました。少々、お待ちください」

 と、45度のきれいなお辞儀をして厨房に戻っていった。

「……悪ぃな。祥也が」

「あっ、いえ、全然。」

 そう、お昼休みに放課後空いているかと神崎先輩に聞かれ首を縦に振ったあたしと優衣。

 神崎先輩と岩佐先輩が迎えに来て学校を出て少し経つと神崎先輩は、

「じゃあ、別行動で」

「「「えっ?」」」

 驚いているあたしと岩佐先輩を置いて優衣を連れ、さっさとどこかへ行ってしまった。

 岩佐先輩の提案で、近くのカフェみたいな所に入り、飲み物を注文したがどちらとも口を開く気配はなく沈黙が続いている。

「失礼します。紅茶とコーラになります」

 沈黙を破ったのは先ほど注文を取った女性店員。

「ごゆっくりどうぞ」

 女性店員は、注文した飲み物を置き再びきれいなお辞儀をして今度はレジへ向かった。