オレンジ色の奇跡



◆……

「「「…………………」」」

「……なぁ…晴樹。……舞希泣いてた?」

「……サク、俺も思った……」

 相川が開けっ放しにしたドアを、ただ見つめている朔真さんと晴樹さん。

「………泣いている所って珍しいんですか?」

 俺、すでに二回見てますけど?

 ってか、なんで泣いてんだ?

 朔真さんが嘘ついてたのは分かってたんだよな。

「「珍しいっ!!」」

 ふたりして俺見なくても……。

「…そうなんですか」

 としか言えねぇ。

「サク、俺、始めて見たかも……」

「隠れて泣いてるとかはあったけど、俺たちの前では、な?」

 なぁ………。
 相川………。

 お前は、俺の前で泣いたよな?

 俺が泣けって言ったのもあったかもしんねぇけど。

 あの涙は、嘘じゃないだろ?

 朔真さん、晴樹さんが見たことのない泣き顔を見れた俺は……、






 ―――俺は“期待”してもいいのか?