先輩が泣けって言ってくれたことであたしの中で何かが弾けた気がしたんだ。
今までは自分の感情を抑えられていたけど最近は、抑えられなくなってきていた。
こんなふうになったのも先輩の所為だろう。
でも……それでもいいと思ったんだ。
先輩の腕の中は妙に落ち着いて安心できて……。
泣き止むまでやさしく背中をさすってくれたことやギュウッと抱きしめてくれたこと……。
あたしのために色んな優しさをくれた先輩のおかげで変われたと思えるから………。
だから、そんな先輩が大好きで、今すぐにでもこの気持ちを伝えたい、っていう衝動がかけめぐるけど……。
伝えたら伝えたでその後が怖い。
素直になろうと思って素直になればなるほど、自分を曝け出すようで、それもまた怖いんだ。
あたしがこんなにも想っている岩佐先輩は、あたしのことなんてきっと眼中にもないのだろう。
あたしと岩佐先輩は“友達以上恋人未満”の関係が、ずっと続くのかな。
朔兄と晴兄の妹だから仲が良いだけなのかもしれない。
あぁ、ダメだ……。
頭がパンクしそうだ……。
あたしは、不意に重くなってきた瞼をとじた。

