オレンジ色の奇跡



「舞希………?」

 気づいたら視界が歪んでいて…。

 綺麗に掃除してある床が恨めしくて、睨みつけた。

 涙が零れないように歯を食いしばっていて………。

 それでも、お礼は言わなくちゃならないんだと思って……。

「い…岩佐…先輩…あ…りがとう…ござい…ました…」


 あたしは涙が零れないうちに自分の部屋に急いだ。





 部屋に飛び込み、ベッドのそばに座り込んだ。

 ひとりになったことで安心したのか涙が洪水のように流れ落ちた。

「…………うぇっ……ひっく……」

 声を押し殺して泣けば泣くほど岩佐先輩の温もりを思い出す。