オレンジ色の奇跡



 ひとりなったあたしは、何もすることもなく眠気が襲ってきたことに気づき机に伏した。


「…………相川さん?」


 ウトウトっとしてきたころで頭上から優しくも男っぽい声が降る。

「……ん……なに?」

 居眠りの邪魔をされ、少し不機嫌な返答をしてしまった。

 重い頭をあげながら声の主を見れば、そこにはたぶん、学級委員長の井上(いのうえ)くんが立っている。

「ごめんね?寝てたよね?」

「………大丈夫」

 えぇ、寝てましたともあなたに起こされましたけどね。

 なんて、口が裂けても言えないだろうな。

「あっ……珍しく寝ているところを見たから、具合が悪いのかなと思って。大丈夫?」

 あぁ、そういうことか……。

 珍しくねぇ……。

 だってふたりしてイチャイチャしているところを、見せつけられたらあたしだってふて寝したくなるもの。