オレンジ色の奇跡



「うん、マフラー。……あれ?優衣は?」

「ダーリンじゃないの?……ほら、あそこ」

 梨海が指差した方向を見れば、照れながらもはにかみ、楽しそうに話す優衣と神崎先輩の姿。

 いつか…………。

 いつか…………。

 岩佐先輩とあんな風に話したい、だなんて思っている自分がいる。

 そんなこと、ただの夢であって実現する確率のほうが低いって自分でも分かってる。

 分かってるけど………。

「舞希……?いつか、あんな風に岩佐先輩と話しているとこ見せつけてよね」

 梨海のこの一言で、あたしは自信をもてるんだ。

「……ありがと、梨海」

「いーの、いーの。あたしが、見たいだけだから。
ん……あっ!ダーリンから電話だあ!」

 震える携帯を手にポッと頬を少し赤らめながら窓際へ急いだ。