三日月にキスをして




「先輩、ここ飲食禁止ですよ」

「まぁまぁ、そう堅いこと言わずにー」


まぁ、先輩の弁当の周りには、汚れて困るような本も資料もない。

からまぁいいか、と私は先輩の弁当を覗き込んだ。



「可愛いお弁当ですね」



ミニオムライスにタコさんウインナー。

ハートマークの卵焼きに......まるで女子高生のお弁当みたいだ。



「ね。みんな作るの上手だわぁ」

「.....みんな?」

「そ。今日はクラスの子がくれた。
たまに貰うんだよね」



オムライスの上にかかってるハートマークのケチャップを容赦なく潰しながら先輩はぱくりと食べる。


「絢瀬も食べる?」


お弁当を見ていたから、欲しがってると思われたのか、差し出してくる先輩に勢いよく首を横に振った。


「い、いやいいです。全然いらないです」

「そ?」


先輩のために愛を込めて作られたであろうお弁当を、もしも一口でも食べた日には、私の命は潰えることだろう。

考えただけで震えるわ。