三日月にキスをして






氷室 理生(ヒムロ リオ)

彼のことを知らない生徒は、この学校にはいないだろう。


すれ違えば、誰しもが2度見する。

それくらい、氷室先輩は整った顔立ちと、スタイルを持ち合わせていた。


私も、初めての図書委員会の集まりで先輩を見た時は驚いた。

芸能人みたいな人がいるって。


とはいえ、会話をする機会もない、無縁な存在。

たまに耳にする噂は、いわゆるクズそのもので、関わりたくないな、とすら思っていた。




「絢瀬ー。今日のお昼何食べたー?」


それなのに、入学して早半年ちょっと。

隣の席で会話するまでに関わってしまうことになるとは。


「購買のチキンバーガーです」

「え、あれ数少ないのに買えたの?すげーね」


木曜日の昼休み。

相変わらず律儀に図書室に来る氷室先輩は、お母さん.......が作ったにしては可愛いすぎるハートマークいっぱいのお弁当を食べていた。