三日月にキスをして



「もう最悪っ....帰るっ」

「ばいばーい」

「.......っ」



私の肩をドンと押しのけ、去っていく女の先輩を、私と、もう一人、1つ上の学年の氷室(ヒムロ)先輩が手を振りながら見送る。


いや、手を振ってる場合ちゃうがな。



「あのー、先輩」

「ん?」



1つ歳上の氷室先輩。

私と同じ図書委員で、毎週木曜日、つまり、今日も一緒に委員を担当しているこの人は、



「いい加減、図書室でみだらな事するのやめてもらっていいですか?」


校内でも噂の遊び人。


「たかがキスじゃん」

「他人のキスシーンとかきもいのでほんと勘弁してください」



はぁー鳥肌鳥肌。

私の鳥肌を見て、氷室先輩は可笑しそうに笑う。


なにわろてんねん。

そう言いたくなる気持ちをぐっとこらえ、私は返却された図書を元の棚に戻した。