三日月にキスをして




「キスしてよ」



それは、静かな静かな図書室で。

ほとんど人が来ないこの場所で。

やけに重たい吐息混じりに、私の耳まで届いてきた。



「ねぇ、理生(リオ)

「っん.....」



ほんと、勘弁して欲しい。



「すみません。そういうことは人のいない所でお願いします」

「ひゃぁ」



後期になってもう何度目だろう。

理生と呼ばれたこの人の、こんな場面を見かけるのは。



「ちょ、ちょっと、なんでいるのよ!!」



顔を赤らめ、不機嫌な声を私に向ける女の人。

上履きの色が赤だから、3年生の人みたい。

.....なんでいるのって言われてもなー。



「図書委員なんで」



理由なんて、これに尽きる。

むしろ、本を読むわけでも借りるわけでもないあなたの方が、なぜここに?という話である。