さくらびと。本編








その夜、病院の屋上で、蕾は一人、夜空を見上げていた。







板垣先生の言葉が、まだ耳から離れない。そんな時、背後から有澤先生の声がした。







 
 「大丈夫?桜井さん」







 
 「...有澤先生...」







 
 「君は、何も悪くない。むしろ、よく頑張ってるよ」







 
 有澤先生は、そう言って蕾の隣に座った。






そして、夜空に輝く星々を見つめながら、静かに語り始めた。




彼の言葉は、蕾の心に優しく染み込んでいった。