初恋の距離。

 





 「ねえ、澤村さん。」





 
 葵が私の席にやってきたのは、授業が終わってすぐのことだった。





彼は今日も変わらず、キラキラとした笑顔で私を見つめている。






 
 「何?」






「今日の授業、全然わかんなかったんだけど。澤村さん、教えてくれない?」









「えー、無理無理。私だってギリギリだったんだから。」








 
 私はそう言って、そっけなく断った。


何度話しかけられても、何度からかわれても、素直に返せない。




本当は、もっと話したいのに。