初恋の距離。






「あのさ、澤村さん。」






 
 不意に、葵の声が聞こえた。彼は、私の隣に立っていた。





 
「え?」




「さっき、何してたの?」






「え?いや、文化祭準備のことで...。」







「そ?なんか、ずっと思ってたんだけど、最近、澤村さんって、俺のこと避けてない?」






「そんなことないよ!」







「うそ。だって、俺と話す時、なんかそわそわしてるもん。」










 
 彼のまっすぐな言葉に、私はぐっと言葉に詰まった。




確かに、最近、葵と話す時は、なんだか落ち着かなくて、素っ気ない態度をとってしまう。





それは、彼を意識しすぎているからに他ならない。







 
 「...ごめん。」








 ポツリと呟いた私の言葉に、葵は優しく微笑んだ。





 

 「別にいいよ。でもさ、もし、俺のこと...なんか、そういう風に思ってくれてるなら、ちゃんと言ってほしいな。」