でも、どこか人を見透かすような、不思議な響きも感じられた。
要先輩との関係にモヤモヤしている私に、凛は次々と、まるで私の心を覗き込むかのように、話しかけてくる。
「へぇ、要先輩と、一年も付き合ってるんだ。すごいね」
「...うん、まあ...」
「でも、なんか、美琴ちゃん、元気ないね。大丈夫?」
「え、いや、別に...」
「無理しないでいいんだよ。辛いことあったら、俺に話してくれてもいいんだからさ。」
凛の言葉は、優しくて、でも、どこか私の心の隙間に入り込んでくるようだった。
雨に濡れた傘を忘れて立ち尽くしていた私に、手を差し伸べてくれた先輩のように。
いや、それ以上に、直接私の心に触れようとするような、そんな勢いがあった。



