その夜、私は、要先輩に、別れを告げるために、電話をかけた。
「要先輩、あの...私、先輩と、別れたいです」
電話の向こうから、先輩の、少し驚いたような、でも、どこか諦めたような声が聞こえてきた。
「...そっか。わかったよ。美琴の幸せを、俺は、ずっと願ってるから」
先輩の言葉に、涙が溢れて止まらなかった。
先輩、今まで、本当にありがとう。そして、ごめんなさい。
翌日、学校で凛に会うと、彼は、昨日よりもさらに眩しい笑顔で私を迎えてくれた。
「おはよう、美琴」という彼の声に、私も、自然と笑顔で返した。
私たちの、新しい物語が、今、静かに始まろうとしていた。



