そんな私に、いつも寄り添ってくれたのは、凛だった。
「大丈夫だよ、美琴」と、彼は何度でも私にそう言ってくれた。
彼の言葉は、冷たい雨に濡れた私を、暖かく包み込んでくれるようだった。
凛と話していると、不思議と心が軽くなる。要先輩との関係で抱えていた不安や、自分自身の優柔不断さに、もううんざりしていたのかもしれない。
「美琴ちゃん、ちょっといいかな?」
放課後、凛が私のクラスにやってきた。
彼は、いつものように、明るい笑顔で私に話しかけてくる。
でも、その笑顔の裏に、彼はどんな想いを隠しているのだろうか。
「...うん、いいよ」
私は、凛の誘いに、素直に頷いた。
二人は、人気のない中庭へと向かった。
雨は、もう止んでいた。空には、雲の隙間から、淡い光が差し込んでいる。



